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【第5部・共存への取り組み】(1)検診

2013年8月28日
■受診率低く危機感/自治体 啓発に躍起

 医療が進歩し、早期発見すれば根治が望めるようになったがん。抗がん剤や放射線治療の技術が上がり、治療を続けながら仕事や家事など日常生活も可能になった。高齢化が進み、今後もさらに患者が増加するのは明らかな状況だ。第5部ではがん時代を迎える中で、検診の受診状況、行政や社会の支援態勢など県内外の取り組みを紹介し、がんと共存するための方法を探る。

 市町村は健康増進法に基づき、早期発見に効果のある対策型検診として胃、大腸、肺、子宮、乳がんの五つの検診を実施している。本県の受診率は、胃がん29.3%、大腸がん21.4%、肺がん20.9%、子宮がん23.9%、乳がん24.6%で、乳がん以外は全国平均を下回っている(2010年、国民生活基礎調査)。国が掲げている目標値50%には到底及ばない。

 「自覚症状のない初期のがんを見つけるには定期的な検診が有効。がん死亡率を減らすためには受診率を上げるしかない」と県健康づくり協会検診部長の湯田敏行医師は危機感を募らせる。

 受診率向上は県内市町村共通の課題になっている。どの市町村も検診案内を個別に送付したり、広報誌やホームページ(HP)で知らせるなど啓発活動に躍起だ。

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 このうち、串間市は06年度から、特に死亡率の高かった胃がん対策に取り組み、検診キャンペーンを始めた。40~60代の働く世代が仕事の合間に受けやすいよう、集団検診の電話予約制や日曜日の検診を導入した。さらに保健師が企業を訪問して寸劇を披露して検診の重要性を訴えるなどユニークな活動を続けている。

 特に受診率が低かった40~60代男性で効果が見られ、受診率は05年度7.15%から12年度17.6%に上昇した。同市の1人当たりの胃がん医療費(国民健康保険支出分)も下がり、保健師の長友春菜さん(40)は「検診で見つかれば早期治療につながるので、結果的に医療費が抑えられているのではないか」と話す。

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 年1回、検診の希望日を個別に記入してもらう「希望取り調査」を11年度から実施する小林市。12年度の受診者数は6985人で、10年度比で約2倍になった。保健師の峯田孝子さん(51)は「がん検診があることすら知らない人がいた。地道に周知する重要性をあらためて感じた」と話す一方、「県平均にも満たない。『症状が出てから病院で受診すればいい』という意識がまだ強い」。さらに受診率を上げるためには、街頭PRや未受診者への個別の働き掛けが大切という。

 乳がんや子宮がんのように20、30代で発症するがんもあり、今後は幅広い世代を対象にした啓発活動が欠かせない。湯田医師は「市町村の役割が大きい」としながらも「検診のメリットや料金など受診につながる情報を県や医療機関、企業が一体となって発信してほしい」と求めている。

【写真】小林市は保健師らがスーパーを訪れ、検診の受診を呼び掛ける。「地道な活動が重要」という

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