「いぼ」のいろいろ
宮崎県医師会 皮膚科医会 堀之内和代
2024年11月07日掲載
「いぼ」という呼び名は皮膚にできる小さな突起物の俗称です。その中でもよく見かける「いぼ」についてお話しします。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
○ ウイルスが原因で手足にできやすい
原因はヒト乳頭腫ウイルスで、年齢を問わず皮膚のどこにでもできます。手や足にできやすく、子どもにもよくできます。ウイルスなので放っておくと大きくなり増えていきます。治療は一般的には液体窒素(マイナス196度)を使い、いぼを凍らせてとりますが、痛みを伴うこともあるので、子どもや痛みに弱い方には漢方薬の内服や外用剤などを使って治療していきます。小さいものや早期のものは比較的早く取れますが、足底の大きなものや爪周りのいぼは治療にかなり時間がかかることがあり、治りにくいいぼにはいろいろな治療をすることもあります。小さいうちにできるだけ早く治療することをお勧めします。
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)
○ウイルスが原因で子どもの皮膚にできやすい
“みずいぼ”と呼ばれるもので、伝染性軟属腫ウイルスが原因です。幼児・小児の体幹や四肢に1~5ミリの小さな丘疹ができ、増えていきます。放置していても数カ月から数年で自然に治ります。プールの水では感染しないので、みずいぼがあるからといってプールを禁止する必要はありません。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
○加齢によるもので 顔や腕にできやすい
“老人性いぼ”と呼ばれる良性のものです。皮膚のどこにでもできますが、紫外線の影響を受けやすい顔や腕などにできやすく、茶色~黒色で表面がザラザラしたものです。老人性といっても30歳を過ぎるとみられます。加齢によるもので、伝染することはありませんが、気になるものは液体窒素を使って取ります。
今回お話ししたものは「いぼ」と呼ばれる中でもよく見かけるものですが、他にもいろいろないぼがあることを覚えておいてください。