食物アレルギー診断
宮崎県医師会 小児科医会 児玉隆志
2024年08月01日掲載
食物アレルギーの診断をするために一番確実なのは、症状の再現性を確認する食物経口負荷試験という検査です。病院で実際に食品を食べてみて、どんな症状が出るかを確認する検査です。どの程度の量を食べてどんな症状が出るのか、あるいは出ないのかを確認できるので、今後の方針を決めることができます。
負荷試験を実施する前に血液検査や皮膚テストが参考にされます。しかし、検査が陽性だから食べられない、陰性だから食べられるということが確定できないのが問題です。また、血液検査の値が高いから症状が強く出る、値が低いから軽く済むということもいえないことが分かっています。検査の精度を十分に理解していないと、管理が不適切になってしまうことがあります。
アレルギー検査をむやみに行うことは避けて
まだ食べたことがない食品に対し、多項目のアレルギー検査をむやみに行うことは避けることが推奨されています。正確性が高まっている検査項目もあります。例えば卵に関するオボムコイド、小麦に関するω5グリアジンなどです。卵が陽性でもオボムコイドが陰性なら症状が出る可能性が低く、軽い症状があったとしても今後食べられるようになる可能性が高くなります。そしてピーナッツのAra h2、カシューナッツのAna o3、クルミのJug r1に関しては、その値でアレルギーの診断や負荷試験をすべきかどうかの判断ができます。
安全な量を確認し、食べ続けることが予防に
幼少期からピーナッツや卵、牛乳などをとり続けることでアレルギーになりにくく、避けることでアレルギーになりやすいことが分かっています。そのため、食物アレルギーに関しては症状がないのに血液検査をしたら陽性だったから食べないようにする、というのは正しい考え方ではありません。症状が出ない安全な量を確認できたら、食べ続けることが予防になります。
食物アレルギーが心配な方は、まずはかかりつけの先生に相談し、必要に応じてアレルギー専門医に紹介してもらいましょう。