子宮の内膜のがん 「子宮体がん」

宮崎県医師会 産婦人科医会 平田徹

2024年04月04日掲載

 子宮の入り口にできる子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスですが、子宮体がんの原因はエストロゲンです。発症年齢は50歳代から60歳代で子宮頸がんより高いです。エストロゲンで増殖した子宮内膜がはがれて月経がおきますが、内膜はエストロゲンが過剰だと増殖症という異常に厚い状態になり、ここからがんが発生します。エストロゲン過剰の状態には、初経が早い、閉経が遅い、未産婦、肥満、エストロゲン単独補充などがあり子宮体がんのリスクです。

 症状の9割が月経以外の性器出血(不正性器出血)です。検査では内膜細胞診・組織診、MRI、CTが行われ、病変の拡がりや顔つき(組織型)によって子宮摘出を含む手術を行います。早期で妊娠希望がある場合は、子宮温存治療(妊よう性温存療法)も選択でき、ホルモン剤で治療します。

 手術では腹腔鏡下手術やロボット手術が行われ負担が少なくなりました。しかし、進行例や悪性度が高い組織型では、お腹を大きくあけて(開腹手術)、子宮、卵巣、リンパ節を切除します。この場合、術後の足のむくみ(リンパ浮腫)に注意が必要です。

 手術後の追加治療には、抗がん剤治療を行います。抗がん剤で脱毛や手足のしびれ(末梢神経障害)がでることがあります。最近では再発時に免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が使えるようになりました。

 遺伝する子宮体がんとしてリンチ症候群が知られています。これは遺伝性大腸がんの一つで、大腸がん以外にも子宮体がんや卵巣がん、胃がんなどのリスクが高まる疾患で、この遺伝子変異があると2~6割の女性が子宮体がんになるため、これらのがんが家系に多い場合は注意が必要です。

閉経後の不正性器出血があれば産婦人科へ

 子宮体がんの5年生存率は全体で約8割です。婦人科がんの中では良好ですが、診断が遅れるとリンパ節や肺、肝臓へ転移し命に影響します。閉経後の性器出血の1割に子宮体がんが見つかるといわれているので、その場合、近くの産婦人科へお早めにご相談ください。

MEMO

新規罹患女性は増加傾向


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