漢方についてのコラム

宮崎県医師会 東洋医会 川越宏文

2024年02月15日掲載

 研修医2年目の病院での経験です。診察室に静かに入ってきた初診の女性は50歳くらい。イライラした感じで、開口一番「解熱剤が欲しい」。風邪かなと診察しました。体温36・5℃でした。「37℃はないですね」と口にすると、彼女はため息混じりに「はい、確かに37℃は越えていませんが、私にとって高熱です。だから悪くなる前に解熱剤を…」と。私は悩みました。なぜなら「主訴→診察・検査→診断→治療・処方等」という西洋医学的治療を身につけたばかり。「検査値の異常がない方に薬を投与? 気のせいじゃないのか」。しかし、彼女のイライラ圧は、私のそれとは違う答えを求めました。結局、総合感冒薬でお茶を濁しました。当時の私にはそれが精一杯でした。

患者さんの訴えに寄り添える「漢方」
 
 そのことが頭の隅にこびりついたまま、私は三年後には透析医になっていました。悩みを解決する答えは意外なところにありました。透析患者さんのしつこい咳は通常の薬では治らない。悩んでいた私は「効けば儲け」と漢方薬を投与し、即効しました。そんな漢方のことをもっと知りたいと、漢方の本を読みあさりました。その中に先ほどの女性の治療態度に関する答を見つけました。西洋医学とは異なる治療哲学を持つ漢方は、検査データよりも患者さんの訴え・感覚と医師の五感を重視。体温が高値でも、寒気を訴えれば生姜が入った温める薬を、火照りのぼせなどを訴えれば冷ます薬を選びます。そんな漢方の勉強をするため、幸いにも日本最高峰の漢方施設・東京女子医大東洋医学研究所でスタッフとして12年間指導的立場で勤務しました。中でも国家プロジェクト長寿科学研究や厚生省慢性疲労症候群研究班のお手伝いは、超一流の研究者の中で得がたい経験をしました。

 さて、われわれは既にアフターコロナ時代に突入しています。コロナ罹患後症状(いわゆるコロナ後遺症)の方の治療が全国的に注目されています。これは慢性疲労症候群と大変類似しています。既に当院で快方に向かっている方もいらっしゃいます。お悩みの方は遠慮なく相談してください。

MEMO

者さんの訴え・感覚と医師の五感を重視


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