膝窩嚢胞(しっかのうほう)

宮崎県医師会・整形外科医会 三橋龍馬

2021年12月02日掲載

 肘関節や膝関節などは、体の中でも曲げたり伸ばしたりすることが多い関節です。結合組織が摩擦しやすいこれらの部位には、滑液包(かつえきほう)という潤滑装置があります。肘の後方や膝の前面、膝窩部(しっかぶ・膝の裏のこと)やアキレス腱の周囲などにあるものが代表的です。この滑液包に炎症が生じると、液体がたまって腫れてしまいます。原因はさまざまですが、慢性的な摩擦が原因となることが多いようです。

 整形外科では多くの場合、大きく腫れた症例に対しては、注射針で液体を抜く処置を行います(穿刺吸引・「せんしきゅういん」と呼ぶ)。しかしながら、複数回の穿刺吸引を行っても再発する場合や、大きく腫れた場合には手術が必要なこともまれにあります。

治療や手術をしても再発することも

 膝窩部のやや内側には、腓腹(ひふく)筋や半膜様筋という筋肉があります。これらの筋の周囲にある滑液包に炎症が起こり、浸出液がたまったものを「膝窩嚢胞(腫)」と呼びます。膝窩嚢胞(腫)は別名「ベーカー嚢胞(腫)」と呼ばれ、日常の外来診療でも度々目にします。大きなものに対しては穿刺吸引をすることもありますが、痛みを我慢して針を刺して吸引をしても数週間から数カ月で再発することもあります。再発を繰り返す場合には手術を行うこともありますが、手術をしても再発することがあります。

関節鏡による半月板処置が再発予防に

 滑液包のみに原因があれば、滑液包を切除することで治ることもあります。しかし膝窩嚢胞(腫)の中には、膝関節とつながっているものもあります。特に50歳以上の方は、膝の半月板の変性断裂などを伴っており、それによって膝関節の関節液が膝窩嚢胞(腫)にたまってしまうケースが多いです。MRI検査などで右記の状態が認められた場合は、関節鏡で半月板を処置することで再発を予防できることもあります。

膝の専門医の下で体に負担の少ない手術を

 膝窩部には大事な神経や血管があるため、整形外科医としては膝関節を後方から手術していく方法は、あまり気が進まない手術であるといえると思います。関節内とつながっている膝窩嚢胞(腫)に関しては、膝の前方から小さな切開で行うことのできる関節鏡手術を行う方が、後方から膝窩嚢胞(腫)を摘出する手術と比較すると、体への負担が少なくて安全性が高いかもしれません。悪性疾患ではないため、気にならないのであれば経過を見てもよいですが、膝の裏が腫れて病院に通ってもなかなか治らない方は、膝の専門医を受診してみるのも一つの選択肢かもしれません。

MEMO

膝裏に液がたまる病 再発を防止するには


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