抗生剤の不適切な投与

小児科医会 鈴木章平

2020年01月16日掲載

 風邪をひいて、医師から抗生剤を処方されなかったことはありませんか? 「風邪をひいているのに、あの医者は抗生剤一つ出さない。けしからん!」 なんて思ったかもしれません。しかし、風邪に抗生剤を投与しないことは正しいことです。風邪の原因の多くはウイルス感染症です。実はウイルスをやっつける薬はなく、風邪の治療は症状に対する治療、対症療法が基本です。つまり、抗生剤は効果がないのです。そればかりか、不適切な抗生剤投与によるデメリットが危惧されています。

多剤耐性菌世界に脅威

 危惧されているデメリットの一つに、耐性菌の出現があります。耐性菌とは、抗生剤が効きにくい菌のことです。この菌は抗生剤を投与することによって、人の体内で増殖します。そしてこの菌による感染症を発症した場合、治療が非常に困難になります。怖いのは、増殖しても気付きにくいことです。人から人へ、病院の内外へ、地域へ、国外へ広がり、世界中で深刻化しています。さらに近年、多剤耐性菌といって、ほとんど全ての抗生剤に効果が無い菌が出現し、世間を脅かしています。これらを背景に、我が国では国際社会と協調し、薬剤耐性(AMR)に関するアクション・プランが発表され、国をあげて対策がなされるようになりました。その一つとして、医療従事者への具体的な抗生剤投与の指針が示されました(適切な抗生剤投与を否定しているわけではありません)。

アレルギー疾患と関連!?  

 また、最近の研究で乳幼児期の抗生剤投与がぜんそくやアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の発症と関係しているという研究結果も、国内外で報告されています。

 詳しいメカニズムは分かっていませんが、どうやら抗生剤投与による腸内環境の乱れが関係しているようです。腸内は無数の無害な細菌が生育しています。無害どころか、人の正常な生理機能の一端を担い、有害な病原体から身を守ってくれています。
 
 医師から処方された薬に抗生剤がなかった時、「風邪だから、抗生剤は飲まなくていいんだね」と正しい理解が広まることを切に望みます。

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