2人一組で入念に。練習前にはしっかりと柔軟体操をする=6月27日、宮崎市
全国目指し練習白熱 男子新体操ジュニア世代 (宮崎市)
迫力のアクロバットを繰り出したかと思えば、美しくしなやかに舞う-。「身体を極限まで使った競技」と表される男子新体操は、運動の魅力が詰まったスポーツだ。宮崎市の「三桜ジュニア新体操クラブ」(青屋一馬監督)は結成して9年。競技の魅力に取りつかれたジュニア世代が全国の舞台を夢見て汗を流している。同クラブには、小学1年生から高校1年生の男子15人、女子7人が所属。青屋監督を含め、7人の熱心な指導陣の下で演技力を磨いている。宮崎小6年の斉藤旭君(11)は競技歴5年と“古株”の1人。「体が柔らかいから柔軟性を生かしたい」と器械体操から転向、「新体操は団体もあって、みんなで演技をつくり上げるところが楽しい」と練習に打ち込む。
練習は週5日。ただ自前の練習場はない。市内の体育館や体操教室を転々としながら、振り付けや体力づくりなど基礎練習を繰り返す。ばねが床下に設置された競技用フロアを使えるのは、週1日だけ。全国区の強豪校であり青屋監督の母校でもある小林秀峰高の厚意を受け、週末の1日3時間だけ同校に出向いて体育館を間借りする。「練習場所を確保するのも一苦労」と語る青屋監督だが、「工夫次第でできることはたくさんある」と意に介さない。
6月下旬の土曜日。子どもたちが、同校体育館の広いフロアで生き生きと動き回っていた。平日、基礎練習に明け暮れてきた子どもたち。本格的な練習ができる貴重な時間とあって、目を輝かせる。柔軟体操に続き、宙返りなど回転技を黙々とこなし、体が十分にほぐれると、いよいよ個人演技の「通し練習」が始まった。
「本番だと思って、集中して臨め」。約2週間後に九州大会に向けた選考会が控えているとあって、コーチ陣の指導にも、いつも以上に熱がこもる。演技は手先、足先まで神経を張り巡らせ、失敗すると「後が大事!」と声が飛ぶ。ロープやクラブなど「手具(しゅぐ)」と呼ばれる道具も使い、音楽に合わせて巧みに操れるようになるまで何度も同じ動きを繰り返す。他の選手の演技中も、監督から指導を仰いでは時間を惜しむように体を動かし続ける。
7月7日、宮崎市で行われた選考会。出場した4人全員が九州大会に駒を進めた。9月には一番の大舞台となる全日本ジュニア選手権につながる大会もあり、生目中2年の茶木(ちゃき)陽翔(ひなと)主将(13)は「目標は全日本で入賞すること」と言い切る。
男子新体操は競技人口も少なく、2008年には国体種目から外れるなど逆風の中にある。青屋監督は「子どもたちには、全国で活躍できる人材に育ってほしい。人に感動を与えられるような演技ができるようになれば、競技の魅力を広く知ってもらえる」と力を込める。