誰もいない浜辺に懐中電灯の明かりが動く。夜間の監視、宿泊は8月いっぱいまで続ける

海の安全へ熱い視線 環境教育にも意欲的

 じりじりと照りつける太陽の下、多くの海水浴客でにぎわう宮崎市の青島海水浴場。波音に交じり歓声が広がるビーチに、鋭い視線を送る者たちがいる。ライフガードたちだ。日焼けした引き締まった体から「一件の事故も起こさせない」という熱い思いが伝わってくる。

 同海水浴場の監視、救助業務を担う、宮崎ライフセービングクラブ(藤田和人理事長)。海を熟知し、救命技術を習得した8人のメンバーが中心となり、夏の青島を見守っている。

 早朝8時。水温や水質、水深などを調査。当日の海の“顔色”を確認してから、監視活動を始める。高さ2・5㍍ほどの監視台から、遊泳区域内だけでなく、区域外にも目を光らす。ビーチには監視台担当のほか、数人のライフガードが常時待機。いつでも出動できる態勢が整う。「深い場所に家族連れ」。「了解、注意します」。トランシーバーで連絡をとり合い、遊泳客のちょっとした表情、行動の変化も見逃さない。

 「流された浮輪を取りに行こうとして、深みにはまる人が多いんです」。加藤浩太郎さん(30)は集中を切らさない。

 「監視、救助業務の枠組みを超えたい」。同クラブ藤田理事長(33)は、海をより楽しんでもらおうと、今年青島にアウトリガーカヌーを導入した。南太平洋で使われる6人乗りのカヌーで、九州には一艇だけ。8月から、希望すれば30分千円で同乗可能。目の前に広がる青島の風景を満喫できるとあり、「ぜひ体験を」と自信を持つ。

 環境教育にも取り組む。浜辺で紙芝居を開き、海洋汚染の被害にあった動物たちを紹介。「こんなふうになるんよ、かわいそうやろ?」。傷ついた動物の写真を、子どもたちは息をのみ見詰める。「環境問題に少しでも関心を持ってくれたら」と興梠洋平さん(25)。子どもたちの反応に手応えを感じている。

 午後7時、海水浴客がいなくなっても彼らはビーチを離れない。7、8月は連日、浜辺近くの事務所に数人が泊まり込む。深夜0時まで2時間おきに、海水浴場エリアを巡回。禁止されている浜辺への車、バイクでの乗り入れ、砂浜での花火などを警戒する。「不審な音がすると、寝ていても目が覚めますね」。連日宿直を担当する樫井康洋さん(36)は、眠れない夜が続く。

 これから夏本番。「青島海水浴場を安全、安心、楽しめる場所にしたいんです」。ライフガードの力強い言葉が頼もしかった。(写真部・木上友貴)