マサイキリン

感染対策徹底 共生を実感

 宮崎市フェニックス自然動物園は、例年とは様相が異なる年の瀬を迎えていた。新型コロナウイルスや鳥インフルエンザといった見えない敵への対策を徹底しつつ、来園者に癒やしを与えている園を訪ねた。

 消毒用のスプレーとマットが設置されている入場ゲートをくぐり、メイン通路を進む。園の目玉イベント「フライング・フラミンゴショー」の会場が右手に見えてきた。ただ、今は鳥インフルエンザ対策で休止しており、ダイナミックに羽ばたく姿を見ることはできない。展示場のネットも対策の一環で、網目をきめ細かくしたのだという。「グァグァ」。フラミンゴは体を寄せ合って鳴いていた。

 イベントが相次いで中止になる中、代わりに開かれているのはアジアゾウ「みどり」のシャワータイム。園内放送が流れ、来園者が集まってきた。飼育員からホースで水をかけられ、大きな耳を気持ちよさそうに動かす「みどり」。最後に「バイバイ」と手を振るように鼻を動かすと、来園者は「かわいい」「またね」と歓声を上げていた。

 「動物たちの愛らしい姿は、人を元気づける不思議な力がある」という出口智久園長の言葉を思い出した。人間と動物が共生することの大切さを実感できる場として、園は存続していくのだろう。すぐ脇を子どもたちが楽しそうに走り抜けていった。