入念にメーク。華やかな印象になるように目元は特に力を入れる=都城市

チンドン屋「笑顔戻す」 コロナ禍の店舗、無償宣伝

 「お弁当いかがですか」「旬のお野菜おいしいですよ」-。都城市を拠点に活動するチンドン屋「宮崎花ふぶき一座」座長の宮田わかなさん(49)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足が遠のいた県内知人の店舗を訪ね、無償で商品を宣伝している。人と接する際はマスクを着用するなど配慮を徹底し「日常に笑顔を取り戻したい」と活動を始めた。

 年間200〜300回だったイベント出演は、感染が広がるにつれて次々と中止に。ふと「チンドン屋の原点はお店の宣伝。これまでできていなかった」と思い返した。「今こそ挑戦しよう」。店を営む知人らに持ち掛けると快諾された。

 派手な衣装に身を包んでチンドン太鼓を打ち鳴らし、通りを歩く。手作りした商品のPR看板を胸と背中にぶら下げ、店先では笑みを絶やさず声を張り上げる。「頑張って」と、手を振る通行人も目を細める。

 激励された知人も、もちろん笑顔。持ち帰り弁当のPRを依頼した同市の野菜専門ダイニングバー「はたけ。」店長の明治福也さん(36)は「販売数が大幅に増えた。落ち込んでなんかいられない」。アコーディオンを演奏してもらった、綾町の薬膳茶房「オーガニックごうだ」店主の郷田美紀子さん(72)は「天の岩戸が開いた気分」と感謝する。

 「人々に元気を与えられるのが、チンドン屋。改めてそう気付かされた」。緊急事態宣言は本県まで拡大され先行きは見通せないが、終息を切に願い活動を続ける。