トレーチャーと呼ばれる模擬運転の機械で運転の基礎を学ぶ。教習生は初めて握るハンドルに緊張気味=8日午後3時15分、宮崎市跡江のサンモータースクール

安全身に付け社会へ 少子化対策にも独自性

 車の運転免許は、現代の「三種の神器」とも言える。間もなく社会へ羽ばたく若者にとって、春は免許取得の時期。高校を卒業したばかりの若者に、県外からの合宿組も加わり、県内の教習所は“大渋滞”。一日も早い免許取得を目指して、真剣な表情でハンドルを握っている。

 県警運転免許課によると、県内の免許保有者は76万6431人で、保有率は九州1位(2月末現在)。大都市に比べバスや電車が不便なだけに、通勤や仕事に車が不可欠という事情があるようだ。

 清武町今泉甲の清武自動車学校ではこの時期、教習生の約8割が高校生。教習所内のコースでは、16台ある教習車がひっきりなしに行き交う。今はピークを越えたが、それでも取得までに、通常より半月ほど長く掛かる状態だ。

 宮崎市田野町から通う河野結衣さん(18)は「市内の会社に就職し、通勤に車が必要。あと2週間、頑張って取りたい」と少々焦り気味。藤本春仁副校長(58)は「今月中に免許を取りたい教習生で、今が最後の追い込み。休日返上で疲れもピークだが、気を引き締め、なんとか生徒の希望に添いたい」と話す。

 県内の教習生に交じり、大都市からの合宿生も。宮崎市内で指定自動車教習所3校を運営する梅田学園には、春休みを活用して一気に免許を習得しようと多くの合宿生が通う。他県にも免許合宿はあるが、知事効果で有名になった宮崎を選ぶ合宿生も多い。

 東京都の大学生、古垣弘人さん(22)は「宮崎の道は混雑せず走りやすい。道を譲ってもらうなど、人情味を感じました」という。同じく西村育人さん(23)は「夜はニシタチで地鶏と焼酎を堪能。郷土料理で少し太ったかも」と宮崎での生活を楽しんでいる。

 少子化で入校者は減少傾向。各教習所は生徒確保に独自性が求められる。同学園の梅田裕樹さん(34)は「送迎バスの充実や施設内に飲食店を設けるなど、ほかにはないサービスを提供。特殊免許技能講習や企業講習、高齢者講習の拡充など積極的に門戸を広げ、県民から選ばれる教習所を目指したい」と懸命だ。

 また教習内容は年々変化し、近年では応急救護処置教習に普及し始めた自動体外式除細動器(AED)の講習も加わった。時代変化に沿った教習も求められる。

 街中を走る教習車や、若葉マークの車はおぼつかない。それは初々しい新社会人と一緒。周囲の“先輩たち”にあおられることなく、安全運転の技術をしっかり身に付けて巣立ってほしい。(写真部・成田和実)