初戦の200キロレースで、大分県の国東半島から永田洋洋さん宅の飼育小屋に戻ってきたハト=都城市高城町

帰巣本能 生命の神秘 鳩レース

 数百キロ離れた地からハトを放ち、帰巣するまでの速さなどで争う「鳩(はと)レース」が今年も各地で始まった。ハトは鳥インフルエンザウイルスを鶏に媒介する恐れが極めて低いとされ、県内の愛好家は情報収集するなど注意を払いながらも例年通り楽しんでいる。

 都道府県単位で春と秋に開催。それぞれ「200キロ」や「700キロ」など異なる距離で6、7回実施し、成績に応じ1戦ごとに獲得したポイントの合計でハトと愛好家の年間王者を決める。ハトが愛好家の飼育小屋に帰り着くまでに要した時間から算出した平均速度で着順を決定。衛星利用測位システム(GPS)で距離、ICチップでタイムを測定していて、速い個体は時速60キロを上回る。

 今季初戦(200キロ)は2月20日。大分県の国東半島で午前7時半、担当者がハトを一斉に放鳥した。47羽を出場させた永田洋洋(ようよう)さん(67)は、都城市高城町の自宅脇に構えた飼育小屋の前で緊張の面持ち。約4時間後に群れが姿を現すとようやく笑顔を見せ「1羽目が帰ってくるまでは、いつもドキドキします」。

 普段から飼育小屋の清掃やハトの体調管理に努めてきた永田さん。レース前には餌の量を調節し、実戦に近い形式の練習会に参加するなどして仕上げたが、数羽は戻ってこなかった。こうした過酷さだけではなく、解明されていない帰巣の仕組みや想像に頼るしかない試合展開に血統の妙…。レースは自然や生命の神秘に思いを巡らす機会にもなっている。

メ  モ

 茨城県つくば市の動物衛生研究所は2011年、鳥インフルエンザウイルスをハトに接種した実証実験の結果を発表。2週間の観察から「全てに症状がない」「ふんや飲用水からはウイルス未検出」とした。鶏と同じかごに入れる実験では「鶏への感染が認められなかった」と報告。これらから「鶏にウイルスを媒介する可能性は極めて低い」との見方が示された。