慎重に石を組んでいく。水槽のレイアウトを考えるこの工程が一番楽しいという=10日午後、宮崎市橘通西5丁目・アクアショップ マーキュリー

水中に映える美の世界 生き物と触れ合い癒やし

 水槽に配置した水草や石などに愛好家のこだわりが感じられ、照明は魚の優美な姿を映し出す。丹精した水中空間に独自の世界観を宿らせる「アクアリウム」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国的に市民が外出を控える傾向にあり、室内で楽しめる趣味として県内でも人気が高まっている。

 コロナ禍で「ステイホーム」が求められた3月、船舶の乗組員を務める山口航平さん(33)=宮崎市恒久5丁目=は13年ぶりに自宅台所で再開した。写真共有アプリ「インスタグラム」の投稿を見て、離れていた趣味への思いが募った。

 青々とした水草やカラフルな淡水魚がライトに照らされ、暗くした室内に浮かび上がる。「帰宅して世話をするだけで癒やされる」と山口さん。水槽をのぞくと、小さな美しい世界に引き込まれそうになる。

 知育に生かす取り組みも。日南市南郷町の認定こども園「にじ色の海こども園」は、ナマコやハリセンボンなどを巨大水槽で飼育。生き物と触れ合う園児らの表情は豊かで「優しい心が育っている」と同園。こうした試みをしている園は他にもあるという。

 多くの人に癒やしを与える一方で、約30年前のブーム時には愛好家のマナーが問題視された。宮崎市内で水草や魚などを販売する専門店で店長を務める佐方弘樹さん(45)は「人気が出てきて別の心配もある。飼えなくなったからといって、魚や水草を河川や排水に捨てないで」と訴える。