森玄堂住職の講話を聞き、笑顔を浮かべる参加者。座禅の後の交流も楽しみの一つだ
悩み消え「また頑張る」 座禅
心を鍛えながらリラックス効果が得られるという座禅。県内にも愛好家が多いといい、「やってみよう」と記者が思ったのには理由がある。夏場に熱中症、腸炎にかかりダウン。車もブロック塀にぶつけ、さらには脚立から転落し頭を打って救急搬送されるなど不運が重なり、めっきり弱気になっていたからだ。すがる思いで禅寺の門をたたいた。毎週木曜日の夜に体験会を開いている宮崎市清武町の内山禅寺に足を運ぶと、10人ほどが本堂に集まり座布団の上で足を組んでいた。森玄堂(げんどう)住職(72)から「何もかもを手放す気持ちが大切なんです」と聞いて周りを見渡した。確かに皆の表情は無心そのものだ。
呼吸は声を出さずに「ひとーつ、ふたーつ」と細く長く10まで数えて繰り返す。途中で気が散ってしまえば再び1に戻るのがルールだ。日を改めて記者も体験。腹式呼吸を繰り返すうちに没入感が高まり、頭が澄み渡ってきた。余計な力も体から抜けていくようで心地よい。20分後にチーンと鈴(りん)が鳴って終了。
腹式呼吸をすると、心の安定を促す神経伝達物質・セロトニンの濃度が高まるとされる。初めて参加した都城市山之口町の中島英子さん(68)も「いろいろな悩みをリセットできた気がする」と笑顔だった。
最後におなじみの棒「警策(けいさく)」で背中をたたいてもらった。ビシッと大きな音がして一瞬、鋭い痛みが走るが、やがて爽快な気分に。「明日からまた頑張ろう」。持ち前の強気を取り戻した自分がいた。