新聞紙を再利用しペーパーログ制作に励む富島高の生徒たち
ぬくもりで人の輪 排煙への気配り大切
ゆらゆらとまきから立ち上がる炎をガラス越しに眺めながら暖をとり、ゆったりとした時を過ごす-。石油高騰やエコ意識の高まりを背景に、まきストーブが注目を集めている。一方、いざ設置するとなると燃料確保、排煙など管理も必要になってくる。周辺事情を探った。宮崎市昭和町、会社役員井上邦敏さん(62)方では1階中央の居間に高さ80センチ、幅70センチ鋳鉄製のまきストーブを構える。26年前の初購入から3代目。趣味の木工細工で出る木切れの有効活用を考えて設置を思いついたという。
井上さんは「まきストーブは体の芯から温まる。昔はよく子どもが友達とストーブの周りで宿題をしていた。自然に人が集まる場所だった」と懐かしむ。
燃料を自前で準備し切らさないように気をつけており、「常にまきのことを考えているので、道端の木切れを見ると気になる」と笑う。夫婦でも山に拾いに行ったり、仲間とまき割り会に参加したりと工夫する。
まきを保管する場所も必要だ。井上さんは「まき割りは一苦労だが、それも含めて楽しめれば」と愛好家を長年続ける秘訣(ひけつ)を教えてくれた。
代用品として燃料補助の味方になりそうなのが、紙を固めた「ペーパーログ(紙まき)」。日向市の富島高では、3年生の課題研究の一つとしてペーパーログ作りに取り組む。水に浸した新聞紙17枚を型で押し固めた後、乾燥させ完成。柏田涼太君(17)は「地域の祭りの屋台で使ってもらいうれしかった」とリサイクルの喜びを実感した様子。
新築と同時にまきストーブを導入する家庭も多い。近所とのトラブルを防ぎ、気持ちよく使用する上で忘れてならないのが、排煙への気配り。 都城市でまきストーブ販売と設置を手がける自営業の山崎桂さん(32)は「まきはよく乾燥し、廃材利用はむく材のみを使用、合板や塗料の付いたものは燃やさない。積んだまきの上部から着火すれば対流をおこせ煙の逆流も防げる」とアドバイス。「煙突は必ず専門的知識のもとで設置してほしい」と強調した。
ぬくもりで人の輪をつくるまきストーブ。安全面を含め正しい使用に努め、長くつき合っていきたいものだ。