【評】流れ始めた雲海のわずかな間から見えるのは、眠りにつく集落を、縫うように疾走する車の光跡。眠らない現代と、自然のリズムで生きる山すその集落が、アンダーの露出で寡黙に表現され、文明論を語る風景写真に昇華している。フィルムにこだわり、夜明け前の風景を撮り続けているが、押方さんのライフワークになりつつある。(写真部次長 沼口啓美)