堅い繊維質が加工の課題という=7月、宮崎市浮田
南国シンボル散策道に 伐採材を製材、製品化も探る
南国宮崎の街路を彩るワシントニアパーム。樹高が20メートルを上回ると管理が困難になるため、近年は管理する国土交通省宮崎河川国道事務所が主導して計画的に植え替えている。課題となる伐採材の活用に向けても、民間と連携して取り組みを進めている。希少植物が多く生息する宮崎市鶴島2丁目の大淀川左岸に延びる砂州に、幅80センチ、長さ8メートルの木製散策道が設置されている。河川増水を引き起こした今月の台風14号でも流されずに残ったこの木道は、ワシントニアパームを基に作ったものだ。
NPO法人「大淀川流域ネットワーク」(宮崎市、杉尾哲代表理事)の呼びかけに応じて集まった市民ボランティアが5月下旬に設置。当日は製材された約2メートルの床板や1メートルの角材が次々と現地に運び込まれた。参加者は手際よく組み立てて木道にし、砂州に取り付けていった。同ネットワークは7月下旬にも希少種を保全する活動の一環で草刈りなどを企画、その際もこの木道が使われた。
こうした取り組みが進む一方、伐採材の活用には課題も残る。切断面にとげが発生することから、家具として加工するのに不向きだという。現在は同市浮田の貯木場で乾燥試験と劣化を観察するモニタリング調査を並行して行い、有効活用策を探っている段階だ。
同事務所は今後も年に14本前後を植え替えていく計画。「県民に愛されている木なので、日常的に目にするような素材や製品への利活用も進めたい」としている。