試合前、ピッチに水をまくボランティア。ぬれた芝生はボールの滑りが良いという

ボランティア奮闘 「選手と一丸」快進撃支える

 Jリーグ3部(J3)に今季、県勢で初めて参入したテゲバジャーロ宮崎。上位争いを演じる健闘ぶりで、新富町のユニリーバスタジアム新富で開かれるホーム戦は熱気を帯びる。華やかな舞台を支えるのは、ボランティアや事務局スタッフら裏方。「選手と一丸」との思いを胸に、準備や運営に取り組んでいる。

 ホーム戦前日。テゲバの選手がスタジアムで最終調整に汗を流す中、スタッフらは観客席などで作業していた。「テゲバに得点が入るよう祈りを込めています」。試合球の空気圧を1球ずつ丁寧にチェックしていた藤原優希さん(23)は、笑顔で話してくれた。

 ピッチでは県サッカー協会社会人委員会メンバーの財津博徳さん(60)が、緑の芝生に真っ白のラインを正確に引いていた。作業にはいつも3時間ほどかかるというが、財津さんは「気持ちよくプレーしてもらいたいから」と額の汗を涼やかに拭った。

 迎えた試合当日。クラブエンブレムが描かれたTシャツを着た30人ほどの集団がスタジアムに姿を現した。高校生から60代までのボランティアだ。入場口で観客に手の消毒や検温を促し「応援、よろしくお願いします」と明るく声掛け。ピッチでは散水担当のボランティアが、キックオフ直前まで作業していた。

 ボランティアは試合中も観客の誘導などに追われる。宮崎大宮高2年の稲野暖(だん)さん(17)は「じっくり観戦できないのは正直、つらい」と苦笑い。それでも「クラブの一員という自覚が強いので、勝った時の喜びは人一倍大きい」と、充実した表情を見せた。

 選手も支援に感謝を忘れない。代健司主将は「試合に集中できるのは、ボランティアあってのこと。勝って恩返ししたい」。試合後は恒例となった選手とボランティアとの記念撮影の輪に、笑顔で加わっていた。