頭部を守り命を守るヘルメットは、自転車競技の必需品だ。坂本佳哉顧問(右)が装着法を指導する=4月21日、宮崎市・県総合運動公園自転車競技場

駆けろ初の公式戦へ 「1秒でも速く」猛練習

 バンクと呼ばれるすり鉢状の競技場を、時速50キロで疾走-。そのスピード感と駆け引きの頭脳戦が魅力の自転車競技に、宮崎農業高(川越寛校長)の生徒6人がこの春から挑み始めた。メジャースポーツとは言えず、県内でも競技人口が少ない中で、生徒自ら同好会の立ち上げに奔走。6人全員が初心者だが、初の公式戦となる県高校総体に向けて猛練習を積んでいる。

 4月18日に発足したばかりの同好会は、2年生1人と1年生5人、2年生の女子マネジャー1人の計7人。自転車競技で国体出場経験もある同校の坂本佳哉教諭(23)が顧問に就いた。練習は週5日、学校が終わると通学用自転車で約8キロ離れたKIRISHIMAヤマザクラ県総合運動公園へ。競技用自転車に乗り換え、バンクや一般道などで約2時間みっちり汗を流す。

 「一つ一つのネジをしっかり絞めろ」「チェーンの位置を確認して自転車をしまえ」-。4月下旬、練習をのぞくと、坂本教諭の厳しい指導が飛び交っていた。その内容は神経質なほど細かい。時速50キロにも達する競技。小さなミスが重大事故につながりかねないだけに、「細かい基本的な部分を身に付けることが大切」(坂本教諭)という。

 バンクは最大傾斜が35度あり、立つこともままならない。そこを、タイヤの幅2センチの自転車で走るのは至難の業だ。1年生の安藤快倫(よしひと)さん(15)は当初、恐怖心で傾斜部分に入れず、走行できたのは平たんなコースだけ。同級生の今城翔さ(かける  )ん(15)はバランスを崩して落車。ムードメーカー的存在だが、その後の数日は練習中の笑顔が消えた。

 それでも、試行錯誤しながら互いにアドバイスしたり、上級者の走りを熱心に観察したりすることで、徐々に上達。恐怖心も克服し、全員が傾斜部分にも動じなくなった。14日、高千穂町でデビュー戦となる「ロードレース」を迎え、27日からは「トラックレース」が控える。

 発足後、思うように練習時間が確保できず、人数分の自転車も無いなど、走りだしたばかりのチームの環境は恵まれているとは言えない。だが、生徒らは「1秒でも速く、一つでも上を目指す」と、目を輝かせている。