「テントウムシが出て行きそう」。心配そうに見つめる子ども
いろんな不思議体験 五感フル回転感性磨く
夏休みも残りわずか。今年も海や山で多彩なイベントがあり、子どもたちでにぎわった。遊びばかりではない。自然観察、化学実験、工場見学などと「学びの夏」も多様化し、人気を集めている。「面白い」「なぜだろう」は学習の原点。好奇心旺盛な子どもたちの表情を追った。ペルセウス座流星群や金星食など天文の話題が多かったこの夏。都城市高崎町のたちばな天文台は、大型の天体望遠鏡で星や惑星を見ようと子どもたちが訪れた。
毎年夏に夜間開放するが、台長の蓑部樹生さん(66)は「これまでは夏休みの宿題の駆け込みが目立った。今年は目的を持ってくる子が多い」と言う。16日夜、家族と訪れた同市立志和池小5年、春田祐貴君(11)は「星の一生についての話が面白かった。星座の見方が分かってうれしい」と目を輝かせた。
木城町石河内にある木城えほんの郷は20日までの3日間、昆虫採集や川遊びをする「里山虫むし合宿」を開き、県内外から55人の幼児、小中学生が参加した。
「あれは何かな。捕まえようか」「ミズカマキリがいる」―。強い日差しの下、子どもたちは水辺や野原にすむ昆虫を探して回った。あちこちから歓声が上がり、講師の写真家今森光彦さん(58)は「里山での体験を通して、人と自然が共生していることに気づいてほしい」と優しいまなざしを送った。
工場見学は定番。都城市高木町にある南日本酪農協同都城工場はこの時期、ほぼ毎日1、2件の申し込みが入るという。ロボットでの運搬操作や飲料の充填(じゅうてん)作業などを目の当たりにし、子どもたちは興味深そうだ。
同市立東小6年、後迫聖奈さん(11)は県内青少年自然の家の交流事業「それいけ!ひむか探検隊」で参加。「牛乳以外にお酒や水、アイスクリーム原料を作っているなんて知らなかった。新学期が始まったら友達に教えたい」と笑顔を見せていた。
宮崎市の宮崎科学技術館は環境展(10〜21日)の一環で、重曹や電気、二酸化炭素の性質を学べる教室などを開催。同市大淀川学習館は、貝殻工作や水質検査、植物採集などの教室を開き、子どもたちが身近な水辺の環境について理解を深めた。
五感をフル回転し感性を磨いた夏休み。よく遊び、よく学んだ経験は、かけがえのない財産になるだろう。