軽トラックから花を下ろし補植。穴掘り、植え込みは役割を分担。早朝の人けのない会場で、手際よく作業は進む
美しい花々見てほしい 愛情注ぎ管理に奮闘
80万本の花が彩るフラワーフェスタのメーン会場、こどものくに(宮崎市)。県内外からの来場者に「宮崎の春」を届けようと、花壇の中で奮闘する7人の女性がいる。「訪れた人が『きれい』と喜んでくれると、疲れも吹き飛びます」。初夏のような日差しに大粒の汗を流しながら、花々の維持、管理に当たっている。7人は40代から80代。これほどの大きさの花壇はほとんど経験がなく、「できるかしら、と最初は不安だったよ」。経験を重ね、今では作業は手慣れたもの。毎年、顔ぶれはほぼ同じ。息の合った仕事ぶりで、同フェスタを支え重責を担う。
作業は厳寒の2月に始まる。デザインに合わせた花壇造りから、花の植栽。オープン時に最良の状態になるよう水やり、施肥など手は抜けない。花壇のデザインを手掛けた小村隆志さん(64)=同市恒久=は、「全幅の信頼をおいている」と7人の働きに満足そう。田代シゲ子さん(72)=同市熊野=は「腰を曲げての作業は一番疲れるけど、頑張らないと」と、デザインに忠実な植え込みを心掛ける。
開催中は水やり、花殻取りなど花の状態に応じ、慎重な作業。開花期間を終えた花は早めに植え替えを行う。「すべての花の性質を把握し、目を配っておくことが大切。せっかく見にきてもらうのだから、常にいい状態にしておかないと」。職人にも似た心意気がうかがえる。
顔を覆うほおかぶり、頭がすっぽり隠れる麦わら帽子。彼女たちのトレードマークだ。「いくつになっても日焼けは嫌よ。私たちも花と一緒」と笑顔がはじける。今月中旬から夏日を記録するようになり、暑さ対策も怠らない。
「おかあさん」。休憩室に花の女王がやってきた。開催中、毎日のように顔を合わせる彼女たち。役割は違うが知らず知らずのうち親近感が深まる。歴代の女王たちから「おかあさん」と呼ばれるという。「フラワーフェスタを盛り上げたい気持ちは同じです」。母と娘のように強いきずなで結ばれている。
終盤を迎えた同フェスタ。「ゴールデンウイークは、多くの人が来てくれるかな」。作業の手を休め杉田スエ子さん(64)=同市熊野。手塩に掛けて育てた花々を、少しでも多くの人に見てほしいと願う。
原色まぶしい花の海に、今日もおかあさんたちの麦わら帽子が揺れ動いている。(写真部・木上友貴)