【評】闇が迫る寸前に死の色と言われる青い光が支配する。その、わずかな時間に賭けた脇本さんの判断が作品を決定づけた。咲き誇るサクラを、光沢あるベンチが鋭利に切り取り映している。西都原とある。地下にはいまだに確認されていない、横穴墓で多くの死者が眠っている。ベンチは宝石箱ではなく、埋葬された石棺が浮上しているのだ。左上の情報がすべてを説明し、作品から謎が消えたのは残念。(写真部次長 沼口啓美)