【評】過去と現在を象徴する建築物が2次元の世界で表現されている。廃仏棄釈での放火や、空襲で炎に包まれた被害当時を赤い照明がほうふつさせる。輝く東京タワーが斜めになって映る。雨上がりの路面に映る日本の代表的な風景が、進化して人は豊かになったのかという。文明論まで投げ掛けている。作品は天地を逆にした。地に立ってこそ存在が生きる仏閣とタワーだ。後ピンの欠点が目立たないのも理由の一つ。(写真部次長 沼口啓美)