JR宮崎駅のすぐ西側に位置する駅前商店街、通称「あみーろーど」では出店が相次ぐ。通りの奥には「アミュプラザ宮崎」の建設クレーンがそびえる
「多様な世代 集う空間に」 宮崎市中心市街地空き店舗減少
ほんの2年ほど前まで道端に放置自転車が山積みされていた通りが、にぎわいを取り戻しつつある。宮崎市の中心市街地にあるハイカラ通りだ。4年前に16軒を数えた空き店舗には飲食店中心に雑貨、着物店などが次々と入り、1軒を残すだけとなっている。カメラを引っ提げて通りを歩き、再生を続ける街の熱気に触れた。幅2メートルほどの細い路地沿いにたたずむ、カフェとコワーキングスペース(共有オフィス)を併設する「若草HUTTE(ヒュッテ)」。2017年8月に、今西猛さん(36)が開業した。テラス席が広がる開放的な空間には、いつも多くの客が集い、通りの拠点となっている。
宮崎市の創業支援事業を活用して店を開いた今西さん。市街地活性化にも力を尽くし、古里の旧南郷村渡川と県都をヒトとモノでつなごうと、開業から2年で約400回、イベントやセミナーを開いてきた。人が集まるようになったのは、こうした取り組みが実を結んでいるからだ。
今月22日の夜に、同店で開かれた「宮崎の『街なか』を勝手に語る会」。さまざまな仕事に携わる市民約20人が、商店街の課題などについて、「郊外と街中を巡回する100円バスが必要」などと夜遅くまで熱く意見を交わした。
ハイカラ通りからJR宮崎駅周辺に足を延ばしてみると、新たな発見がある。日中から夜まで、飲食店からのおいしそうな香りが漂っており、暑さをものともせず長蛇の列ができる人気店もあった。写真映えを狙ったのか、店主自ら手掛けた看板や、趣向を凝らした照明が目を引く飲食店も。オープンを控えた店も少なくなく、いずれも店構えは洗練されている。
ただ、平日の昼下がりの人通りはまばら。出店ラッシュとはいっても飲食店中心で、今西さんは「多様な世代が楽しめる空間に(街全体が)育っていけば」と強調する。その言葉に、市街地再生の本質が詰まっていると確信しつつ、飽きがこない路地を後にした。