初の本県開催で多くの家族連れや愛好家が来場。速さや迫力に圧倒され、息をのんで見守った
「聖地化へ」関係者意欲 ドローンレース本県初開催
モーターがうなりを上げ、地面すれすれを飛び回る。小型無人機「ドローン」レースの全国大会予選が宮崎市のこどものくにで1日に開かれ、白熱の戦いを取材した。本県初開催とあり、多くの親子連れや愛好家が来場。県内外から参戦した、7人の巧みな操縦技術に心を躍らせた。7月の全国大会(北海道)出場を懸けた一戦で、全国9会場で一斉に行われた。いずれも60メートル×40メートル以上と定めたフィールドに設置した複数の旗門を通過しながら3周。3回の試技の中から最も良かったタイムで競い、全国上位者が本戦へ。一般的な空撮向けの機体とは異なり、衛星利用測位システム(GPS)や障害物センサーは付いていない。大きさは約30センチ四方で、重量は500グラムほどと軽い。
わずか0・1秒の差が勝敗を左右する。出場者は部品や制御プログラムなどに独自の仕様を施して会場入り。レース前から機体の安全検査や調整、シミュレーターを使っての準備などに余念がない。一様に真剣な表情で出番を待った。
約3時間後、いよいよ本番。全国上位の記録をたたき出そうと、際どくコースを突いていく。最高速度に達する直線では機体を肉眼で捉えるのも難しいほど。ゲートやフラッグ、地面に激突する場面もあった。
会場にはテレビモニターが置かれ、機体から送信される映像を見ることができた。勢いよく上昇と下降、旋回を繰り返しているのが分かり、目まぐるしく景色が変わる。曲芸飛行のようだった。
全国の切符を手にした出場者はいなかったが、観客は終始、大きな拍手と歓声を送った。大会を運営した実行委の岩上浩平会長(45)=宮崎市内海=は「出場者や来場者に素晴らしい景観をPRすることができた。今後、宮崎をドローンレースの聖地にしたい」と意気込む。
出場するには第四級アマチュア無線技士の国家資格が必要だが、さまざまな区分が設けられていて年齢や性別も問わない。そのため、競技人口は徐々に増えているという。eスポーツでの五輪正式競技採用に向けた取り組みも世界では始まっている。迫力あふれるレースを目の当たりにし、今後は全国的にもっと熱を帯びていくと確信した。