愛宕山公園に建てられたニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの鍵掛けモニュメントが夜景に映える

古代より伝わる「出会いの聖地」

 朝もやに浮かぶ延岡市の愛宕山、薄明に包まれ霊峰は神々しさを増す。夜景スポットとして有名な愛宕山は昔、「笠沙の岬」「笠沙の山」といわれ、ニニギノミコトがコノハナサクヤヒメと出会い求婚した地と古事記に伝わる。二人のモニュメントが置かれた愛宕山公園は「出会いの聖地」とされ、南京錠を絵馬のように掛けて愛を誓う恋人たちが後を絶たない。

 現在の名称になったのは慶長年間、城山に延岡城を築城する際、同所にあった愛宕神社を笠沙の岬に移したことが始まりという。城山ガイド・ボランティアの会の九鬼勉会長(62)は「笠沙の山」と詠まれた日向国名所歌集の延岡藩主有馬康純(在位1641~1679年)の歌に注目する。「康純の詠んだ笠沙の山は当然、現在の愛宕山。当時から笠沙の山や笠沙の岬と呼ばれていたことを裏付ける」と話す。

 地形や地名にも神話との関連性が見える。九鬼会長は、山周辺に点在する貝塚を案内しながら縄文時代は延岡平野一帯は海だったと説明。「神代、愛宕山は海原に突き出た岬のように見えただろう。ホオリ(祝子川)やイツセ(五ツ瀬川=五ケ瀬川の古称)など神々を思わせる地名も市内には実に多い」と推し量る。

 神話講座や夜景鑑賞会を通して、愛宕山の魅力を発信する笠沙の会の有留秀雄会長(62)は「二人が出会った聖地はどこか。鹿児島県笠沙町や西都市の逢初川など諸説あるが、総合的に考えて延岡であると確信している。展望台から悠久の自然と街並み、日向灘が織りなす大パノラマを眺め、古代ロマンに思いをはせてほしい」と神話とのつながりが深い郷土への誇りをのぞかせた。

【メモ】愛宕山公園は「夜景100選」「日本夜景遺産」に認定される夜景スポット。10月20日は「出逢いの聖地を祝い夜景を楽しむ会(笠沙の会主催)」が開催される。同会(電話)0982(33)4794。