ひんやりした舌触りやとろけるような食感で人気の生キャラメル。新たな「宮崎の味」として定着するか注目される=13日、宮崎市花ケ島・米良食品宮崎工場

新たな名物定着なるか “宮崎色”の商品続々

 ひんやりとした舌触りの後に、口中に広がるミルキーな味わい―。新しい食感も受け、生キャラメルがブームになっている。価格は800円前後で長期保存も利かない“高級お菓子”だが、ブームに乗り遅れまいと県内業者も約30種類の商品を店頭に並べる。県外客の土産にも人気となっており、新たな本県の名物として注目される。

 ブームの火付け役は北海道の花畑牧場。県内でも人気が広がる中、今年1月に宮崎市の洋菓子店「パティスリー ブランダジュール」が県産マンゴーにこだわって製造販売を始めるなど、瞬く間に広まった。4月には花畑牧場と提携した米良食品(本社・西米良村)が製造開始。販売先の一つである宮崎市のみやざき物産館では発売初日から約2週間、商品を買い求める百人超の行列が連日できた。現在も即日完売の盛況ぶりだ。

 今では県菓子工業組合の加盟店八店のほか、食品加工業社なども製造する。一般的なプレーンタイプだけでなく、県産品のマンゴーや完熟きんかん、日向夏ミカンなどを使いバリエーションは多彩。“宮崎色”をPRする品は土産としても人気を博す。

 製造が盛んになった理由について、同組合の山元務理事長は「鍋と技術さえあれば初期投資は要らないのが大きい。調合次第で独自の味も出しやすい」と要因を分析する。大量生産は難しいという希少性も、消費者心理をあおっているようだ。

 ブームの一方、課題も表面化してきた。米良食品などに県産マンゴーピューレを供給する野尻町の「のじり農産加工センターさとび」では、生キャラメルブームによる引き合いが急増し、ピューレの安定供給に頭を悩ます。同センターの平野国弘管理課長は、「町内産だけでは対応できなくなるかも」と話し、原料確保を心配する。

 口の中ですぐにとろける軟らかさは、常温では溶けてしまうマイナス面も。形くずれしない工夫が必要になる。さらに、全国各地での競争激化も予想される。

 米良食品の上米良正社長は「宮崎マンゴー、花畑牧場という2つのブランドに恥じないよう“宮崎の味”を定着させたい。県内の業界同士で切磋琢磨(せっさたくま)し盛り上げていく」と意気込む。

 東国原知事の誕生以来続く宮崎ブーム。さらに本県の名を広められるか。一過性のブームで終わらせないよう「宮崎生キャラメル」の成長が期待される。(写真部・宮本武英)