ふれあい動物広場でインコやモルモットの紹介をする梅田さん

華やか滑空ショー 試行錯誤し日々訓練

 宮崎市フェニックス自然動物園(出口智久園長)のフラミンゴショーが活気づいている。全国初のフライングショーを取り入れ11日にリニューアル。この2週間で7千人が訪れた。薄紅色の一団が次々に羽ばたくと子どもたちは目を輝かせ、大人たちも歓声を上げる。優雅で統制された動き。それを絶妙のタイミングで生み出すフラミンゴレディを追った。

 開業した1971(昭和46)年から続く名物ショー。屋外のため、これまで羽の一部を切って、飛んで逃げないように披露してきた。新たな舞台は、高さ15メートル、直径55メートルの巨大ネットで覆った円形会場。その中でチリーフラミンゴ約70羽を思う存分に羽ばたかせる。

 ショーを指揮するフラミンゴレディは3人。10年間の経験を持つ関希美さん(39)が、入社2年目の石塚さおりさん(24)と梅田美緒さん(22)の2人を引っ張っている。ショーでは赤いスーツに身を包み、華やかなフラミンゴレディだが、飼育係を兼ねており仕事はハード。フラミンゴ舎や繁殖場の清掃、1日2回の食事の準備、ほかにも数種類の動物を担当し息つく暇もない。

 それでも3人は、寸暇を惜しんでリニューアルの準備に力を注いできた。出口園長は言う。「普段から飼育で携わっていても、相手は野生動物。とにかくショーの環境に慣れさせなければならなかった」。約4カ月間、朝、昼、夕の1日3回、300回を超す練習を重ねた。思い通りにいかない事もあったが、石塚さんは「日を追うごとに羽が伸び、飛ぶ姿が迫力を増すのに刺激を受けた。疲れていても頑張れた」と笑顔で振り返る。

 訓練をビデオに撮って改善点を話し合い、立ち位置や音楽に合わせた動きを何度も修正。梅田さんは「最初はバラバラだったけど、一定の距離感とタイミングを間違えなければ大丈夫、自信がついた」と胸を張る。

 ステージは10分間を1日3回。フラミンゴの習性や特性を利用し、フラミンゴレディが鳥との距離を狭めたり、広げたりしながら集団を移動、変化させていく。フラミンゴレディが群れに割り込めば統制の取れた集団行動に。傾斜地を下り視界に水が入ると自然と羽ばたくという。

 クライマックスは圧巻。池を縦に8メートル、横へ30メートルと2度、滑空する姿を披露し、観客の目をくぎ付けにする。

 しかしまだ個々の飛行力に差はある。「羽が生えそろえば、もっと見応えのあるショーになる。自分たちも試行錯誤しながら成長しないといけない」。名実ともに日本一のフラミンゴショーを目指し、3人の視線は揺るがない。