【評】写真を撮る人、見つめる人、座る人たちが一方向を向いている。撮る人々の正面から、妨げ覚悟で撮る根性がいい。一定の距離を置きそれぞれのポジションに立つ姿に、現代の人間関係の希薄さを思わせる。画面の隅々まで真夏の健康的な自然がみなぎる中、笑顔も会話もなく、黙々と撮影に夢中になる人たちの、その不自然さが作品としての質を高めている。斜面に等距離で立つ姿は、映画「七人の侍」の宣伝写真の現代版に近い。(写真部次長 沼口啓美)