【評】寄り添う二人の視線の先に広がる、薄紫の雲を映す静かな海と、漂流物が散乱する黄色い砂浜。壮大な光景の静止は不気味で、劇的な展開を予感させる。自然光と人工光がミックスされた長時間露光の撮影が、想像も及ばない風景をつくり出している。構図や画角、露出設定が的確で非の打ちどころがない。風景写真の域を超える傑作。(写真部次長 沼口啓美)