新商品に使う6種類の花、それぞれに合った器やリボンの色を選ぶプロジェクトチーム。「組み合わせ次第で印象は様変わりする」。慎重に議論を重ねる

知恵集め定番目指す 「売れるものを」議論白熱

 柔らかな花びらから漂う優しい香りが人気のスイートピー。日南市は昨年度約3700万本を出荷、全国一の生産地だ。一方、長引く不況から、スイートピーの売り上げは低迷。生産者の家計を圧迫し、さらなる市場の落ち込みは農家離れにもつながりかねない。現状を打開しようと、新たな商品開発に取り組むプロジェクトチーム(PT)がある。

 「黙って眺めているだけでは、消費者は振り向いてくれない」。同市のJAはまゆう営農部の村上昇さん(55)が思い立ったのは今年6月。生花で出荷しているスイートピーに、いかに付加価値を付けるか。生産者、市場関係者、花屋を交えPTを発足。月1回以上のペースで話し合いを始めた。検討したのは、収穫したスイートピーに生産者が直接手を加えるスタイル。

 「大きな負担が掛からず、加工できる商品がいい」。同市風田でスイートピーを生産する長鶴修司さん(62)は多くの生産者の声を代弁。宮崎市内で花屋を経営、フラワーコーディネートも手掛ける永友美奈子さん(38)は、はやりを取り入れた斬新なデザインを提案。ファッション雑誌やネットを参考に、ユニークな飾り付けや陶器を用いたおしゃれな容器を考案した。

 優先するべきなのは、作りやすさかデザインか―。会議が進む中、現実的な問題として突き付けられたのは流通におけるコストとリスク。「商品単価が上がりすぎては、消費者は振り向いてくれない」。議論は白熱し、会議は3時間以上に及ぶことも。「売れるものを生み出したい意識は同じ。繰り返し話し合うことで、意見を歩み寄らせた」とメンバーは口をそろえる。

 今月22日、宮崎市中央卸売市場。PTの前に完成品が並んだ。新商品はファーストレディーなど品種に応じて6種類。20センチほどにカットした7、8本の花をユーカリの葉とアレンジ。プラスチック容器のスポンジに挿し、直径10センチ、高さ10センチの紙製の鉢に入れリボンを添え包装する。容器は転倒しても水がこぼれない特殊なコップを使っている。「知恵の集大成」と村上さんは目尻を下げる。新商品の名称は年内に決定し、来年1月中旬に500〜800円で商品化する。

 「まず第一歩を踏み出せた」と同チーム。さらに改良を加え、一過性のものでなく、定番商品を目指す。「生産を受け継ぐ若い世代に、いい形でバトンタッチがしたい」。スイートピー産地日南は、世代をまたいだ発展をもくろんでいる。(写真部・木上友貴)