昨年のドラフトで東京ヤクルトスワローズの1位指名を受けた赤川克紀投手。2軍で2勝を挙げたが、1軍デビューはプロの洗礼を受けた。今年の経験を生かし、来季に懸ける思いは強い=9日、西都市の西都原運動公園野球場

レベルアップへ全力 フェニックス・リーグに集う県勢選手

 華やかなプロ野球界だが、1球団で1軍ベンチ入りメンバーは25人と狭き世界。宮崎市を中心に開催中の「みやざきフェニックス・リーグ」にプロ野球の若手選手らが集っている。1軍入りを目指して選手たちは、課題克服やレベルアップを図る。厳しい勝負の世界で生き残りを懸け、ひたむきに取り組む県勢選手を追った。

 「ピッチャー、赤川」。球場にアナウンスが響くと、すかさずスタンドから「頑張れー」と声援が飛ぶ。その先には、東京ヤクルトスワローズの赤川克紀投手(宮崎商高卒)の姿。1軍でプロ入り初登板したが、ほろ苦いプロ1年目となった。「ここで実戦感覚を磨き、来シーズンはファームで勝ち星を積み上げる。目標は1軍で1勝」と2年目に力を込める。

 同じく昨年のドラフト1位、埼玉西武ライオンズの中崎雄太投手(日南学園高卒)。慰問先の日南市内の特別養護老人ホームで大歓迎を受けた。さらに、サインや握手に涙ぐんで喜ぶお年寄りに感激。「地元の皆さんが一生懸命応援してくださる。励みになります」と逆に元気をもらった様子。

 1軍の公式戦では味わえない選手との距離感もファンにとっては大きな魅力だ。すぐ目の前で躍動する選手を見たり、その息遣いに圧倒される。試合が終われば、気軽にサインをもらい、交流できる絶好のチャンス。

 会社員で宮崎市大橋2丁目の黒田昌文さん(41)は、千葉ロッテマリーンズのファン歴10年。3年前から毎年、同リーグに足を運ぶ。「青田買いみたいに、応援する若手選手が1軍に上がると本当うれしい」と、選手たちの絶え間ない努力がファン心理をくすぐる。

 同リーグ参加の若手選手以上に、熱の入った動きを見せる中堅選手ら。今季以上の結果が1軍で期待される。混成チーム「フューチャーズ」で参加の井手正太郎選手(日南学園高卒)や川崎雄介投手(宮崎南高―九州東海大―ホンダ熊本)からも今後、目が離せない。

 6年目を迎えた同リーグ。ホームページのアクセス数は10万件を突破し、観客動員数は昨年の1万1739人(第2クールまで)を超える1万9165人(14日現在)と着実に増えている。「今後は、県外にも発信し、会場周辺の盛り上げにも工夫を凝らしたい」と宮崎市観光商工部観光課の阪元勇主幹(48)。

 来季の飛躍を誓う選手たちと同様、同リーグのさらなる定着へ意欲的だ。同リーグは22日、閉幕する。(写真部・米丸 悟)