【評】北風とたこが、子どもの心を自由な空に放ち、宙に溶け込ませている。単純化した構図だからこそ、少年の気持ちが素直に伝わる。空中のたこは強弱ある振動で、糸を通じ少年の鼓動と結ばれている。たこは少年の手作りとある。散髪の時機や服装を自ら決め、児童から少年へと自立を始めている。淡い水色から濃紺へと変化する空色が、心の模様に見えるのは思い込みか。背後からも心を写せるという、写真の魅力が十分に発揮されている。(写真部次長 沼口啓美)