【評】朝鮮半島の古代国家・百済の王族亡命伝説をしのぶ師走祭り。作品は美郷町塚の原で行われた、比木神社の神主ら一行を出迎える儀式だろう。祭りのクライマックスを狙いがちだが、光と影にテーマを絞り、野焼きの煙と夕方の逆光線、長く伸びた影をうまく捉え、きれいな作品に仕上がった。幻想的な迎え火や、哀愁を誘う別れの儀式などさまざまな表情を見せる祭りだが、穏やかに「静」の部分を表現している。(写真部次長 中島雅隆)