参道沿いの杉から朝日が差し込む。自然豊かな環境で、神武天皇は好奇心豊かな人に育ったという

苦難乗り越えてきた住民の証し

 鳥や虫の鳴き声、小川のせせらぎ、木立からまだらに差し込む日の光-。深い緑の中伸びる参道を進むと、自然の全てが五感を楽しませてくれる。高原町狭野にある狭野神社は、15歳までを同所などで過ごしたとされる神武天皇を祭る。

 地名にちなみ、サノノミコトの異名を持つ神武天皇。乗馬を楽しみ、好物は甘いアケビの実やキノコだったとの逸話が同神社に残る。好奇心旺盛、山を駆け回る行動派で、稲作普及に努めるなど住民からの尊敬を集めた。

 同神社はもともと皇子原に建立された。周辺の山の噴火に何度も見舞われ、約400年前に狭野に移転。その後も土石流被害などに遭ったが、建て直されてきた。

 災害続きだった神社の歴史について松坂督亮宮司(82)は「日本をつくった神武天皇を祭っているだけに、神社を次の代に引き継いでいかなければという決意があったはずだ」と思いを重ねる。

 高原の地を見守ってきた同神社には、五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全を願い、訪れる人が絶えない。

 まっすぐ約1キロ続く長い参道に沿って高さ40〜50メートル、幹回り6〜9メートルほどの杉が立ち並ぶ。

 数々の戦を乗り越え、127歳まで生きたと伝わる神武天皇の強運にあやかろうと、島津義弘は朝鮮出兵を前に戦勝祈願を行った。祈願のお礼に義弘から杉が神社に送られ、御神木として祭られたほか参道沿いにも残っている。

 神武天皇の一生と同様、厳しい試練を乗り越えてきた狭野神社。その存在は、苦難のたびに立ち上がってきた地域住民の証しでもある。

【メモ】愛宕山公園は「夜景100選」「日本夜景遺産」に認定される夜景スポット。10月20日は「出逢いの聖地を祝い夜景を楽しむ会(笠沙の会主催)」が開催される。同会(電話)0982(33)4794。