昭和天皇が召し上がった夕食が再現されている都城島津邸。講師の説明を聞き、案内のイメージを膨らませる

おもてなしの心重視 受講生デビューに意欲

 神話や歴史を訪ねる人が増え、観光ガイドの活躍の場が広がっている。県内では宮崎市や高千穂町など14市町村で19団体が活動。その一つ都城歴史観光ガイドの会(森文武代表、30人)は、都城市内の史跡や都城島津邸を無料案内し好評を得ている。本年度のガイド養成講座をカメラで追った。

 同観光ガイドの会は、都城の魅力を発信しようと2010年に発足。NPO法人都城歴史と文化のまちづくり会議(田代義博理事長)が講座を開き、ガイドを育てている。講座は月2回の全12回。3回目の今年は、主婦や歴史愛好家など50〜60代を中心に女性10人、男性6人が集まった。都城盆地や都城島津家の歴史を学び、史跡見学、ガイド研修などで経験を積み一人前のガイドを目指している。

 都城市郡元町の主婦細井京子さん(61)は古事記や日本書紀に興味があり、友人の勧めで受講。5月の開講当初「自分にガイドが務まるのかな」と不安な表情を浮かべていたが、7月中旬、市内の史跡約30カ所を巡るフィールドワークでは「祝吉御所(島津家発祥の碑)は近くにあるって知ってたけど、来たことがなかった。実際に来て興味を引かれた」と気持ちに余裕が生まれていた。

 講座では、先進地にも足を運ぶ。8月には、日南市観光ガイドボランティアの会(多田野順子会長、43人)のベテランガイドからノウハウを学んだ。飫肥城周辺の案内を受けた後、意見を交換。都城市横市町の主婦松田洋子さん(47)は「歴史の話は相手のニーズに合わせ、植物の話や生活に関係する興味深い話題を織り交ぜていた。しっかりコミュニケーションを取ることが大切」と刺激を受けていた。

 3期生16人は今月25日、一人の脱落者も出さずに閉講式を迎える。講座も終盤。実践練習で先輩ガイドにお手本を見せてもらい、案内せりふを自宅に帰って覚えている。同会議理事長で講師の田代義博さん(66)は、おもてなしの心を重視。「ただ史実を話すだけが観光ガイドの役目ではない。自宅に友人を迎える気持ちで案内すること」と心構えを説く。

 細井さんは、半年間を振り返り「早く案内してお客さんに喜んでもらいたい。自分で飛び込んだ道。生涯学習と思って頑張りたい」。ガイドの自覚が芽生え、デビューを心待ちにしている。