【評】古代朝鮮王朝が滅亡し、王がたどり着いたといわれる美郷町南郷区で行われる師走祭り。炭付けなどの和やかな作品が多く応募された中で、王族が、激動を生き延びる光景をほうふつさせる力のある作品だ。火の粉を巻き上げる炎を背景に、真っ黒な斜面の大地を人物が適度な間隔で駆け上がり、画面全体が躍動感に満ちている。炎と人物が、複雑な階調の煙と黒く単調な地面に挟まれ、見る者の意識が中央に集中する。(写真部次長 沼口啓美)