広葉樹、針葉樹が入り交じる池めぐりの森。コースの途中、木々の間から六観音御池を望めるスポットも。現代社会から解放される「癒やしの森」として、人々の心をつかんでいる
四季折々の自然堪能、癒やしの山歩き
標高1200メートル、広がるのは日常忘れる別世界―。四方を韓国岳、蝦野岳、甑岳、白鳥山に囲まれた、えびの市のえびの高原。ひんやりとした空気がほおをなで、穂を落としたススキを揺らす。すっかり葉を落とした木々の間を、硫黄の香りが漂う。
えびの高原北部には白紫池、六観音御池、不動池の三つの火口湖が点在する。周囲には池を巡る遊歩道(池めぐり自然研究路)が設けられ、トレッキングを楽しめるコースとして観光客に親しまれている。1986年、遊歩道周辺は「えびの高原池めぐりの森」として林野庁・緑の文明学会により全国森林浴の森百選に選定された。
えびのエコ・ミュージアムセンターを起点とする池めぐりは、白鳥山を経由しないコースで全長4・3キロ、所要時間は約1時間40分。11月上旬、コミネカエデ、ドウダンツツジなどが鮮やかに色づき、紅葉を一目見ようと多くの人が訪れていた。冬にかけては「気象条件によって、さまざまに変化する池を見比べるのもおもしろいですよ」と話す同センターの満田宗雄さん(62)。春には黄色の花を咲かせたキリシマミズキが、甘酸っぱい香りを漂わせ、初夏にはミヤマキリシマが淡紅紫色に咲き誇る。四季折々、多様な植物を堪能できる。
2007年には、トレッキングを主体とした高原の活性化を目指す「えびの高原トレッキングブランド化推進協議会」が発足。「登山ブームもあり、おしゃれな登山ウエアに身を包んだ観光客が増えている」と同協議会。池めぐりの森は「山歩きのメッカ」として定着しつつある。(写真部・木上友貴)
【メモ】九州自動車道えびのインターから車で30分。山歩きを満喫した後には、周辺施設の足湯や天然温泉を利用して疲れを癒やせる。えびの市観光協会TEL0984(35)3838。