その中で、第1シード日南学園、今春のセンバツ大会に出場した宮崎工、春の九州地区大会県予選を制した宮崎商が一歩リード。日向学院、宮崎日大など上位シード勢に加え、宮崎農、聖心ウルスラ、日章学園など有力チームが追う展開となりそうだ。
ただ、今年は口蹄疫が県内に広がり、5月下旬から対外試合が禁止されている。球児たちは、いわばぶっつけ本番で本大会に臨むわけで、その影響も小さくない。
Aパートは激戦区。第1シード日南学園は秋の九州地区大会県予選で優勝するなど、県内の主要3大会すべてで4強入りを果たした。昨夏のマウンドも経験している中崎翔太は、直球、スライダーともに磨きが掛かり、打線は主砲の草清優真がけがから復帰した。投打がかみ合えば、一気に抜け出す可能性は高い。
対抗は前回覇者の都城商。チームを統率する捕手・米良孝秋を中心に、鍛え抜かれた守りで連覇をにらむ。同じく前回、4強入りする快進撃を見せた宮崎農も侮れない。エース松山勝太の力強い投球と破壊力のある打線は今年も健在だ。その宮崎農と初戦でぶつかる宮崎学園は、持ち前の粘りで勝機を探る。
川崎航洋―川越淳史の継投で突破口を開く第4シード日向学院はBパート。川崎は伸びのある直球、川越は多彩な変化球で凡打の山を築く。ともに安定感があり簡単にホームを踏ませない。打線はやや長打力に欠けるものの、しぶとくつなぎ好機を演出。序盤で得点を重ね、試合を優位に運びたい。
第5シード宮崎日大は主要県大会で2度のベスト4。大会屈指の左腕・中野健汰を軸に守り勝つ。5年ぶりの優勝を狙う聖心ウルスラは、4番の畑田大和が強力打線を引っ張る。1回戦でぶつかる都城東と都城は共に競り合いに強く、1点をめぐる好ゲームが期待できそうだ。
Cパートは第3シード宮崎商が有力。最速147キロの直球で打者をねじ伏せる吉田奈緒貴のピッチングに注目だ。春の九州地区大会県予選は全5試合に登板し、防御率0・88。抜群の制球力に加え、三振を狙える豪快さも備える。谷口亮平、久徳亮太を軸とした攻撃陣の奮起が鍵を握りそうだ。
これを追うのは昨秋、今春の九州地区大会県予選ともに8強の宮崎大宮。投手を柱とした守りから流れを引き寄せ、犠打や機動力などの小技を使い確実に1点をもぎ取る。冬場の猛練習で打力がアップした日章学園も、勢いに乗れば台風の目になれる存在。攻守にバランスの取れた日向工も上位争いに絡んできそうだ。
Dパートの第2シード宮崎工は今春のセンバツ大会で1勝を挙げた。主戦・浜田智博は最速140キロの直球に、スライダー、チェンジアップを織り交ぜる。新チーム発足後は、ほぼ一人で投げ抜きスタミナ面の心配もない。捕手・伊比井悠嗣が浜田の持ち味を引き出せれば、春夏連続の甲子園出場が見えてくる。
宮崎工に続くのが第7シード延岡学園か。準優勝した県新人大会以降は目立った成績を残せていないが、タイプの異なる2本柱・坂元悠貴、小田原利樹を擁し総合力は高い。バックが軽快な守りで両エースを支え、攻撃にリズムを生みたい。足で揺さぶる日向も虎視眈々(たんたん)と上位をうかがう。