小惑星「ミノベ」の認定書を手に、今後の意気込みを語る蓑部樹生さん=都城市高崎町の「たちばな天文台」
小惑星「Minobe(ミノベ)」誕生-。国際天文学連合(IAU)は、都城市高崎町の「たちばな天文台」で長年、天文学の普及、教育活動に尽力する名誉台長蓑部樹生(たつお)さん(77)の名前を小惑星に付けた。蓑部さんは「名前に恥じない活動を続けたい」と意気込んでいる。
蓑部さんは1986(昭和61)年のハレー彗星(すいせい)接近を機に星などの観察会を開くようになり、翌年には「高崎星を見る会」を設立。91年に天文台が完成してからは指導員や台長として宇宙の楽しみ方を伝え、小中学校などに出向く観察教室は毎年50回ほどを数える。
国内で不要になった日食眼鏡をウガンダやインドネシアの子どもらに贈り、皆既日食を見てもらうなどの国際活動にも取り組んだ。
活動を認めた東亜天文学会(神戸市)が今年1月、IAUに申請書を提出。審査員13人の全会一致で惑星に名前を付けることが決まった。通常、惑星名は発見者が付けることが多いが、未決定のものには、天文学の振興に貢献した人の名前も付けるという。
同天文台によると、ミノベは直径約7・2キロで94年に北海道のアマチュア天文家2人が発見した。現在は地球から約4億5千万キロの位置にあり、望遠鏡でも観測は難しいが、2026年9月には約1億5千万キロに近づくため、観測のチャンスが広がるという。
蓑部さんは「世界が認めてくれて感慨ひとしお。これを契機により多くの人に夢を与えられる天文台を目指す」と話している。
星の名前に県内の人物名が付くのは、同天文台が確認している分で4人目という。