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花火のエール届け 宮崎市・井内さん私費で毎週打ち上げ

2020年6月6日掲載

県民へのエールを込め、打ち上げ花火を準備する井内正之さん=5日午後7時15分、宮崎市・天神山公園

 平穏な夏を迎えられますように-。宮崎市中村西1丁目「井内銃砲火薬店」代表の井内正之さん(66)は、新型コロナウイルス終息への願いを込め、私費を投じて市内で花火を打ち上げている。2回目となった5日夜は、同市天満町の天神山公園から15発が夜空を彩った。「花火の見えない人にも、活動を通して感謝の気持ちや元気が伝われば」。県民へのエールを、大輪の花に乗せる。

 コロナ禍で苦しむ人々に元気や勇気を与えようと、1日夜に全国の花火師が自費で一斉に花火を打ち上げたイベント「Cheer up!(チアアップ)花火」。趣旨に賛同した井内さんも、「地域への恩返しにもなる」と同市鶴島1丁目の大淀川河川敷で鮮やかな花火を夜空に咲かせた。

 花火師になって約20年。「今まで聞いたこともない、鳥肌の立つような歓声や拍手。花火で、こんなに喜んでもらえるとは…」。胸が熱くなり、イベントが終わっても個人的に打ち上げを続けようと決めた。

 自己負担で花火を上げ続けるには1回15発が限界。それでも、「少しでも楽しんでもらいたい」と、今年の夏祭りで使う予定の中玉の中から色や形の良いものだけを厳選。1玉1玉に「悪疫退散」「頑張ろう!」と書いたシールも貼る。

 5日夜は天神山公園で、井内さんと妻の淳子さん(63)ら3人が花火を設置。「1週間お疲れさん。来週もみんなで手洗いうがい、マスク着用を頑張ろう」-。そんな思いを込めて井内さんがスイッチを押すと、医療関係者への感謝を示したという青色を中心に「牡丹(ぼたん)」や「菊」と呼ばれる丸形の花火が夜空に瞬いた。

 6月中は毎週金曜午後8時に花火を打ち上げる。密集を避けるため事前告知はせず、場所を変えて行う予定だ。「各地で夏祭りが開かれるような、これまで通りの平穏な夏がきてほしい」。井内さんは晴れやかな表情で語った。