断崖の奥にある「天岩戸」に初めて張られたしめ縄=18日午前、高千穂町岩戸(天岩戸神社提供)
アマテラスオオミカミを祭る高千穂町岩戸の天岩戸(あまのいわと)神社(佐藤永周(さとうえいしゅう)宮司)は18日、創建以来の悲願だったご神体の「天岩戸」に初めてしめ縄を張った。天岩戸は人を寄せ付けない断崖絶壁にあり、プロの登山家チームが作業に当たり、氏子らが岩戸川の対岸から歴史的瞬間を見守った。
神話の舞台となった天岩戸は、アマテラスオオミカミが姿を隠した洞窟で、世界に光が戻った後に再び隠れてしまわないよう、結界としてしめ縄が張られたとされる。だが現在はしめ縄はなく、高さ約120メートルの切り立った崖の中腹にあることから、近づくことすら難しかった。
同日は日本人で初めて世界の8千メートル峰全14座の登頂を果たした竹内洋岳(たけうちひろたか)さん(49)=東京都=を中心とする登山家5人が現場を担当。ロープで下り、約30分かけて洞窟の入り口に長さ約20メートルのしめ縄を張った。対岸の遙拝殿(ようはいでん)では神事が行われ、氏子ら約30人が固唾(かたず)をのんで見守った。
佐藤宮司は「新年がコロナ禍から抜け出し、明るさを取り戻す年となってほしい」と祈りを込めていた。天岩戸は神職の案内で遙拝殿から参拝できる。