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黄色い花は「母の日」の思い出 亡き娘からのプレゼント

2017年12月4日掲載

亡き娘がくれたオオバナアリアケカズラ。植村トシ子さんは「花が咲くのが毎年楽しみ」とほほ笑む=日南市西町2丁目

 黄色いラッパ形の花にウニのようなトゲトゲした実。日南市西町2丁目、植村トシ子さん(93)方の花木・オオバナアリアケカズラが玄関横に植えられ、20年ほどになる。8月に他界した長女・岡田良子さん(享年72)が母の日に、花が大好きな植村さんに贈ったものだ。

 結婚を機に移り住んだ岡山市から、良子さんが贈った1本の苗。「見ていて優しい気持ちになれる花が好き」という母へのプレゼントだった。20センチほどだった苗木は、市道に面した玄関のそばに植えると、ぐんぐん成長。1階の屋根ほどの高さにまで育った。

 特別な手間をかけるわけでもなく、冬になり霜が降りると、葉っぱは落ちてしまう。それでも暖かくなると芽吹き、淡い黄色の花や紫がかった実をつけてきた。

 アラマンダの一種・オオバナアリアケカズラは、キョウチクトウ科のつる性の花木で熱帯アメリカ原産。フローランテ宮崎(宮崎市)の花づくり指導員・大迫勇一さん(67)によると、本県の屋外で寒い冬を越すのは難しいそうで「20年も“長生き”している木を所有している人はいないのでは。花が咲き、上向きの枝全体に実がなることも珍しい」という。

 「本当に親思いだった」(植村さん)というまな娘の良子さんは、病気で8月に他界。そのわずか1カ月後、70年以上連れ添った夫・伊平さんも亡くした。悲しみから家に閉じこもる日が続いた植村さん。そんな中でも、オオバナアリアケカズラは今年も変わらず、10月にかれんな花を「ぱあっと」咲かせ、道行く人の目を楽しませている。

 今も悲しみから立ち直れてはいない。「思い出の詰まった花を見ては娘を思い出して涙が出る」。だが同時に、花の生命力から力をもらっているという。「この黄色が好き。これからも大切にしたいし、お父さんの残した土地や財産を立派に守り抜くために頑張りたい」と涙を拭った。