憧れの夢舞台へ一歩－。タカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校（兵庫県宝塚市）に今月入学する第１０８期生に、日向学院高（宮崎市）を今春卒業した東郷早紀さん（１８）＝宮崎市佐土原町＝が九州で唯一、合格した。これまで３度涙をのみ、年齢制限で最後となった挑戦での快挙。東郷さんは「周囲の支えでここまで来られた。内面から美しいタカラジェンヌとなれるよう努力したい」と胸を膨らませている。

　中学２年の時、宝塚大劇場（宝塚市）で観劇したのが同学校を目指すきっかけ。当時、雪組の娘役トップは高校の先輩に当たる咲妃（さきひ）みゆさん（２９）。ステージ上から投げキッスをされ、「ここに絶対入りたい」と思ったという。

　試験を受けられる中学３年時から受験を重ねたが、１、２度目は最終試験、３度目は２次試験で不合格。高校卒業の今年、同級生の多くが大学進学を選んだが、「退路を断ち、自分の全てを懸けて挑みたい」と大学は受験しなかった。

　試験では「この場に立てることを幸せに感じ、母やコーチ、友人への感謝の気持ちを歌と踊りに込めた」。ようやくつかんだ夢の切符。「最初は実感が湧かず、信じられなかった」という。

　目標は咲妃さん。「恩師から人柄も素晴らしいと聞いている。憧れの背中に少しでも近づき、豊かな表現ができる娘役になりたい」

　１０８期生は東郷さんを含めて４０人。８５２人が受験し、競争倍率は２１・３倍だった。新型コロナウイルスの感染防止のため、合格番号の学内掲示は行わず、ホームページで発表。入学式は１７日にあり、２年間、歌やバレエなどを学ぶ。