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宮城から宮崎へ 牛が繋いだ縁で結婚 繁殖農家・新田さん

2019年10月25日掲載

宮城県から連れてきた雌牛「みどりの」を見守る新田さん夫婦=小林市堤

 仙台牛で知られる宮城県から全国和牛能力共進会(全共)に出場した女性が、小林市堤の和牛繁殖農家と結婚した。同県登米(とめ)市出身の新田友美(しんでんともみ)さん(33)。連れてきたのは、大切に世話してきた同県の血統を受け継ぐ若い雌牛1頭。「いつかこの子の血を継いだ牛で宮崎から全共に出場したい」との夢を描く。

 友美さんは地元高校の農業科を出て、同市で牛飼い名人として知られる大立目(おおたちめ)敏夫さん(67)の農場に就職。2012年の長崎全共では、産地の総合力が問われる7区に大立目さんと育てた牛で出場し、入賞を果たした。

 夫・泰佑(たいすけ)さん(31)との縁を取り持ったのは、同じ7区で首席に輝いたメンバーの一人、小林市の和牛繁殖農家森田直也さん(44)。大立目さんも認める友美さんの調教技術に感心し、大会後も視察を受け入れるなど交流してきた。昨年6月、牛飼いを一生続けたいという友美さんに、泰佑さんを紹介した。

 泰佑さんの優しさに引かれた友美さんは、「何度も全共チャンピオンになっている宮崎で、自分の力を試したい」という思いも重なり、古里を離れることを決心。「みどりの」と名付けた子牛を連れて行きたいと大立目さんに願い出る。

 友美さんが初めて誕生を見守った牛の孫で、人懐っこい雌。美しい毛並みや雌らしい顔つきなど同県の伝統的な特徴を残そうと、交配も自ら考えた牛だ。体の大きさでは劣るため、大立目さんから他の牛も勧められたが「この子は自分の原点。宮城とつないでくれる存在」と押し通した。

 9月に結婚式を挙げた2人。友美さんは「古里への恩返しのため、宮城の牛の血統と、身に付けてきた調教技術が宮崎で通用することを示したい」と、全共出場を目指してさらに努力を続ける。就農5年目の泰佑さんも「細かな気配りなど勉強になることばかり」と早速、刺激を受けている。

 口蹄疫で多くの種牛を失った本県への精液無償提供や、東日本大震災後の餌の支援など助け合ってきた両県。森田さんは「友美さんは両県の懸け橋となる存在。宮城から技術や血統が入ることで、宮崎に新しい流れが生まれる」と期待を寄せる。