柔道世界選手権男子66キロ級準決勝で、ライバルの阿部一二三選手(下)を下した丸山城志郎選手=26日午後、日本武道館
悲願の東京五輪出場を大きく引き寄せた姿に、地元も沸いた。東京・日本武道館で26日あった柔道世界選手権男子66キロ級。宮崎市出身の丸山城志郎選手(26)=ミキハウス=は、準決勝で最大のライバル阿部一二三選手(22)=日体大=を延長戦の末に破り、初の世界一に。小学生時代の柔道仲間や県内関係者からは、「友として誇らしい」「五輪出場を勝ち取り金メダルを」と期待する声が相次いだ。
阿部選手との準決勝は先に指導二つを取られ、後がなくなる苦しい展開。だが、丸山選手と同級生で、小学時代は同じ県選抜メンバーで全国大会を戦った会社員、上田達彦さん(25)=延岡市幸町=は、指導を受けた直後の落ち着いた様子に「気持ちが固まったな」と勝利を確信したという。
今も親交は続いており、26日の試合当日朝、「夢を託させてくれ」とメールした。同じように五輪出場を夢見ていた自らに重ね合わせ「自分の思いもかなえてくれたようで、言葉にならないほどうれしい。友として誇らしい気持ちだ。あいつなら必ず出場枠を勝ち取り、金メダルを取ってくれる」と興奮気味に話した。
丸山選手は小学時代、父・顕志さんが立ち上げた宮崎市の道場「泰山学舎」で力を付けた。一緒に乱取りした同級生の団体職員、平山雅樹さん(25)=宮崎市吉村町=は「小さいころから内股など切れがあったけど、きょうは特にすごかった。五輪までけがせずにもう一回り強くなって」とエール。
同じく泰山学舎で練習した都城市職員、結城健太さん(25)=都城市前田町=は準決勝で指や膝を痛めながら戦う姿に、涙が止まらなかったという。「勝った瞬間は鳥肌が立った。痛み止めを打って挑んだ決勝では、積極的に前に出る姿勢に道場時代を思い出した」
本県出身選手の活躍は、県内関係者も喜ばせた。県柔道連盟の児玉俊悟理事長(71)は「宮崎で柔道を頑張る子どもたちにとっても大きな励みになる。技だけでなく丸山選手が見せた気持ちの強さも伝えたい」と話していた。