多くの人から「走りに元気をもらった」と激励され、自分の力になっていると感謝する今西駿介=宮崎市内
東海大の初優勝で幕を閉じた第95回東京箱根間往復大学駅伝(2、3日)。3位だった東洋大で2年連続山下りの6区(20・8キロ)を任された小林高出の今西駿介(3年)は、昨年から大きくタイムを縮める力走を見せた。「力は出し尽くした」と、レースを振り返る一方で「来年こそ総合優勝できるよう、チームを引っ張っていきたい」と気持ちを新たにしている。
チームは2年連続往路優勝。今西は初出場の前回、59分31秒の区間5位と奮闘したが、区間賞を奪った青学大・小野田勇次に15キロ付近で逆転を許し、1分近く引き離された。同じく先頭でスタートした今回、58分12秒と前年より1分19秒も短縮。区間新記録の小野田や東海大の中島怜利の猛追をかわし、2位に1分以上の差を保ちたすきをつないだ。
ポイントとなったのは残り3キロ。直前まで13キロにわたる急な下りを駆け下りるため、脚を酷使する。「昨年は走力がなく、ここで一気に50秒くらい差をつけられた。今年は地力が付き終盤も足を動かすことができた」と振り返る。
転機は昨年の箱根。ライバルの圧倒的な強さに悔しさも覚えたが、それまで大学で結果を出せておらず、区間5位の記録は「自信になった」。それ以降、さらに身を入れて練習に取り組むようになり、3月のアジアクロカンでは実業団選手を抑え銅メダル。10月の出雲全日本大学選抜駅伝は5区区間賞を獲得するなど、飛躍の1年となった。
「最初から100パーセント。計算せず、感覚で走るのが自分らしさ」と、思い切った攻めの走りが持ち味。実は今回、平地区間を走る予定だったが、約10日前に急きょ6区へ変更に。動揺しても不思議ではないが、持ち前の強気で役割を果たした。
最上級生となる今年。常にチームをけん引していく強い心構えで日々の練習に向き合うつもりだ。「青学の選手と話し、学内での競り合いがすごいと感じた。そこはうちに足りない部分。自分の走力を上げるのはもちろん、後輩たちを引っ張り底上げを図りたい」。その先に、6年ぶりの総合優勝が見えてくる。
【いまにし・しゅんすけ】 高原町出身。小林高では3年連続で全国高校駅伝に出場し、連続入賞(6位、5位、5位)に貢献。2年では3区で区間4位、22人抜きの快走を演じた。