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“幻のミズスマシ”生息か 大分の専門家発見

2019年6月6日掲載

ニッポンミズスマシと専門誌で発表した三宅会長

 延岡市北川町の北川湿原に“幻のミズスマシ”といわれる「ニッポンミズスマシ」が生息している可能性がかなり高いことが専門家の調査・研究で分かった。78年間、その存在が分からないミズスマシで、希少動植物が多数生息する同湿原の高い生物多様性が改めて証明された形だ。

 発見したのは大分昆虫同好会の三宅武会長(75)=大分県由布市=らで、日本甲虫学会の和文誌「さやばね」ニューシリーズで発表した。

 ニッポンミズスマシは1941(昭和16)年、スウェーデンの研究者が鹿児島県国分市(現鹿児島県霧島市)で採取された7匹の標本を手に入れ命名した。その後、標本はどこにあるか不明に。加えて発見当時の論文は写真がなく、特徴もしっかりと記載されていなかった。環境省のレッドデータブックも「情報不足」としている。水生甲虫に詳しい愛媛大農学部の吉富博之准教授(46)は「本当にそういう種が九州に分布するか分からず、研究者の中には存在自体を怪しむ声もあった」と説明する。

 三宅会長らは2015年、北川湿原を調査する中で普段見るのと違うミズスマシを見付けた。「ニッポンミズスマシではないか」と疑問を深めて吉富准教授から資料提供などの協力を得て分析を始めた。

 複数のミズスマシの標本を取り寄せて比較すると、羽などに違いがあり別種と確認。さらに発見論文に書かれた特徴とも一致した。加えて、採取したのが、ほかのミズスマシが活動しない冬季で、当時の採取時季と一致していることからも確信を深めた。

 三宅会長らはまた、同湿原と環境の似ている湧水を水源とする、大分県由布市湯布院町の川でも同種を確認した。

 吉富准教授は「命名時の標本がないので100パーセントとは言えないが、ほぼ間違いない」と評価。1990年代から、身近な存在だったミズスマシのほとんどの種が絶滅危惧種となっている点を強調した上で保全の重要性を説く。

 三宅会長は「北川湿原は小さいが、生態的な豊かさ、複雑さにおいてほかに例を見ない魅力的な場所」と話している。