大屋根を支える部材や軒、ひさしに都城、諸塚産のスギ材が使用される新国立競技場の外観イメージ(大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV作成・JSC提供)
2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとして建設が進む新国立競技場(東京都新宿区)の大屋根や外周を囲む軒とひさしに、都城市と諸塚村産のスギ材が使用されることが14日、複数の関係者への取材で分かった。両市村とも森林認証林から伐採した木材を既に納入している。県産材を介して本県が五輪とつながる契機になることから、関係者は「歴史的な国家プロジェクトに宮崎の山が関わっているのは大きな誇り。宮崎の良質な木材をPRする絶好の機会」と喜んでいる。
商社から県を通じて木材調達の依頼があった都城市では、国内の森林認証(SGEC)を取得している市有林1・3ヘクタールを昨年10月に伐採。その中からさらに良質な丸太を選び出し、25立方メートル相当のラミナ(集成材の部材)に加工して今年2月までに納入した。木材はさらに加工され、競技場の象徴となっている観客席を覆う大屋根を支える部材になる。
同村でも同様の部材となる木材40立方メートルのほか、軒やひさしに使われる木材約3立方メートルを4月までに出荷した。国際森林認証(FSC)を取得した山から切り出した。木材は全国各地から調達されることになっている。
県や両市村は宮崎日日新聞の取材に対し、「契約関係で守秘義務が定められ、詳細についてはコメントできない」と説明した。
東京五輪の関連施設では、選手村「ビレッジプラザ」(中央区)の木造化に伴い、県が約100立方メートルの部材を提供する。県営林のほか、都城、日向、小林市、美郷町、諸塚村の5市町村から認証材を調達する流れ。また、県とは別に施設の平屋1棟分の木材を供給する日南市では12月から、認証を取得した市有林を伐採する予定。
同市水産林政課は「東京五輪の歴史に飫肥スギの名を刻み、情報発信していきたい」と話している。